2016年5月6日金曜日

とある本気競技車両を試乗してきた

襲撃してきた知人を迎撃するため、この連休はそこそこ酒量が増えた気がする。
そのうちの一人がわざわざ手間暇かけて引っ張ってきたのが某本気競技車両だ。

そのラリー仕様の競技車両、車名と仕様は秘す。プラス存在地で確実に特定できる車両なので。

某有力チームのワークスマシンとしてイチから開発されたその車両は、中古として売却される際に本気すぎる仕様から知人の懐具合を鑑みたダウングレードが施されているが、その端々に残るワークスカーとしての名残はあまりに本気。2シーターとしてガチガチに組んであるロールケージやなんかがあまりに漢仕様

こちらの車両もMT車のHT81Sと現代では運転手を選ぶ車両なだけに道中での相乗りすらかなわなかったが、ちょっと試食レベルで試乗させてもらった。

まず乗り込むときに妨げになるのはロールケージに溶接済みのドアのクロスバー。狭められた開口部からロールケージのあちこちをつかんで体を曲げてねじって乗り込むわけであるが、すごく御幣のある言い方が許されるならドアを全開に出来た分コペンより楽に感じた。そして何より収まってしまえば見た目より狭さは感じない。バケットシートは以前乗ってたCJミラージュで慣れてるし。

「あれ? シート調整出来んの?」
「うん。シートはボルト止めー
つまりは前ドライバーに合わせたフルオーダー仕様なわけだ。
「ペダル位置合わないと思うけど座る深さで調整して。慣れる」
マジ漢仕様。
ディープコーンのステアは手元までくるので快適だが、そんなわけでペダル類は遠い。
クラッチのストロークが意外に長く、底まで踏み切るのにつま先を伸ばす必要に駆られた。
「あ、ブレーキは気を付けてね。ブースターレスだからクソ重いよ」
「待てや。それでシート合わんの厳しくね?」
「慣れれば大丈夫。がんばってー」

というわけで試乗。バックで路上へ。路上へ。路上へ……。
「サイドどうやるの?」
「ちょっと持ち上げるとするっと降りる」
「引きっぱにするときは?」
「根元のレバー持ち上げたまましっかり引け」
レース中サイドターンやるときにボタンでレリーズする手間をかけないための部品だろう。

さあスタートだ。つーかクラッチのミートポイントが分かりませぬ。少々大げさにエンジンをふかし、とりあえずその辺をワンブロックくるっと回ってくる。


「で、もう少し試乗行く」
「やめとく」

はっきりと感じた。この短距離じゃ慣れるの無理!

ブースターなしのブレーキは思った通りの減速をするために2テンポくらい考えて踏力を増す必要がある。公道ですぱっと減速するのにそのタイムラグは致命的になるかもしれない。
走る・曲がる・止まるで一番重要な『止まる』に時間がかかるのは問題だろう。
増した踏力でポジションがずれれば微調整も必要になる。そこも致命的なタイムラグを生む、かもしれない。
旅行を無事に終えるためにも、安全を考えれば断念するしかない。

誤解がないように言っておくが、ブレーキタッチは素晴らしく、減速そのものははっきり行われる。単純にこちらの感覚調整の失敗のみだ。
操作にこそ戸惑うものの操作感はいい。がっしりとした手ごたえはさすが競技車両。ゆるいところが少ない。
心底こちらの手落ちゆえに試乗叶わず、だ。ただ残念としか言えない。

あの運転席は仕事場だと感じた。普通乗用車のように遊び場ではない、だからこそ遊びが少なくても許される場所だと。
それは競技には必須でも、横からのちょい乗りはじゃまするレベルの純度なのだ。

今の私には遠い車だ。
ただし、間違いなく単目的を果たすためにはいい車であろう。




その知人をHT81Sに乗せた時にしみじみと「普通だ……」と言った理由、なんとなくわかる気がする(笑)

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