1945年。終戦間際のあの日。長崎。
米軍兵として捕えられていたローガンは、自分をあの爆弾から助けようとした日本兵ヤシダを逆に助ける。
それから70年後。愛するものを二度殺した責を負い世捨て人として暮らしていたローガンを、ヤシダの使いという人間が探し出し日本へ連れて行く。
瀕死のヤシダは、ローガンに一つの提案を行うのだ。
「あの時助けてくれた礼をしたい。貴方の望むものを与えたい。老いと、死を」
不思議な縁で日本と結びついたローガン――ウルヴァリンの、自分の立ち位置を探す旅が始まる。
アメコミ界でも名高いX-MENシリーズの映画の最新作であるが、前作のウルヴァリンには『X-MEN ZERO』のサブタイトルがついていたが今回はX-MENの文字は含まれない。
カナダの少年ジェームズ・ハウレットがいかにしてジェームズ・ローガンとなり、そしてウルヴァリンになったのかは前作ZEROにて語られた。が、これが映画版の正解と言うだけでコミックだと他にもいくつかの説が存在するあたりがアメコミの面白さで面倒くささ。
今回はX-MENではないウルヴァリンを掘り下げようという意気込みだろうか。
彼の能力は超絶な治癒能力だ。その副産物として超人的な感覚と運動能力を手にし、特殊金属アダマンチウムを拒否反応なく受け入れ、望まぬながらも遅い老化を手にしている。
敵として見るならウルヴァリンというのは実に厄介である。
超人的な感覚と運動能力をかいくぐって致命傷を与えたつもりが十中八九復活する、ってどれだけのチートなんだか(笑)
解決法は二つ。いかに彼を物語から排除するかか、能力を無効化するかだ。
というわけで今回の敵は正統的にウルヴァリンの治癒能力を減衰させるところから始める。
おかげで感覚や運動能力にも若干の悪影響を及ぼし、遅れをとらないまでもヤクザにいいだけダメージを食らわされる。
超人バトルでもそこそこ無双できるウルヴァリンが一般人との戦闘で苦労するあたり、どの程度の減衰なのか。ちなみにウルヴァリンの初出はハルクのストッパー役。
今回の見どころの一つはヒュー・ジャックマンのビルドアップだと思う。
原作ウルヴァリンはチビのマッチョで、アダマンチウムの爪に頼った戦い方をするためいかつい上半身をしていた。
一方ヒュー・ジャックマンは190cmの長身。そこにがっつり筋肉をつけて原作の印象に近づけようとしているのはさすがだと思う。
映画を見てて気になったのは日本の描写の素っ頓狂さ。
ヤシダの拠点が東京にあるのはわかる。別荘(というか戦後ヤシダが暮らした別邸)が長崎にあるのはいい。
……なぜヤシダの里がさらに別にあるのよ。しかも長崎じゃ半袖の人間がいる時期に雪の降る500kmの彼方に。
東京の地理は疎いが相当ワープしてるらしいがまだいい。長崎の描写も悪くない(ロケ地は福山らしいが)。
しかしあの猥雑な裏文化周りの描写はちといただけない。カプセルホテルまがいのラブホの周囲がかなりゲスく描かれてるのは、やはり外国人が望んだ日本の描写なのだろうかとため息が出る始末。アレって海外にある日本人街の裏通り、それも日本人が住んでないあたり系の描き方ですよねー!?
さて。この映画、お勧めするかと言われるとちと悩む。
アクションは秀逸だ。真田広之の二刀流vsウルヴァリンの両手爪のシーンは相当にいい。
しかしアメコミは人を選ぶ。
その上X-MEN映画ではなくウルヴァリン単体を扱った、しかも幕間相当のストーリーだからかなり人を選ぶと思うのだ。
もちろん自分みたいに映画版を全部見ているような奇特な人なら押さえるべき内容だ。
何でこうもやっとした表現をするかと言うと、軽く納得できないところがあるせい。
軽度ネタバレを含むので折りたたんでおく。
で、このもやっと感の答えは一つ。
日本人、外道しかいねぇ。
ラスボスの正体はちと以外。協力者も。身勝手な理由でウルヴァリンに敵対するのもありだ。
しかし、アメコミ映画の敵役(ヴィラン)って敵なりの筋があってその筋を通すために悪側に回ってることが多いんだよね。X-MEN映画だとマグニートーがきっちり筋を通した悪をやってるわけで。
対比させると悲しくなるほどのクズっぷりを披露する今回のラスボス。
ボスに限らずヤシダ三代の確執とかもなかなかひどい。みんな身勝手に動くし誰も彼も他人の心境無視。
他にも出る日本人出る日本人ほとんど外道。獣医とユキオくらいしかまっとうな描かれ方してないもの。
あ、でも中村獅童の使い方は笑った。クズは確かにクズなんだがあんないいフリもらっといて曲者の表情しておいてあの落差(笑) わかってやってるんだとしたらタチが悪いわ。
そしてシルバーサムライの使い捨てっぷりに唖然。いーの? ってくらいあっさり使い捨てやがった。もう日本には来ないしゲストも呼ばないってことでいいのか?
せめてもの救いは続編への引き。あの二人がやっと同じ側に立つか!
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