病室のベッド脇に用意された食事をもそもそ食べ終わった後、この食器をどうしたらいいのかの指示がなかったことに気付いた。
(前の入院のときは後半だとナースセンターに持ってきてくれって言われてたよなぁ)
という記憶のもと、どうせ食事は椅子に座って食べるんだからベッドへの移動と立ち上がる手間は同じと考えナースセンターまで持って行くことにした。
「え? 何で食器を持ってきたんですか!?」
さっき外出から戻った報告をしたときに指示がなかったから部屋に置いといていいのかわからないからですよ。
「ご飯は明日からも部屋にお持ちしますが、次からは持ってこなくていいですからね?」
はーい。
さて今回は計画的だった割にそこそこ急な入院となってしまったため、忘れ物がいくつか散見される。なくてもどうにかなるけどあったほうが生活の潤いが増すヤツ。
つまり、その。なんだ。
前回同様忘れたのだ。また。本を。
少しは学習しておけ馬鹿。
今回の問題は歩く自由が奪われていることである。
基本ベッドの上で、トイレと洗面関係、あと水が飲みたいときには最寄の洗面所へ行ってもいい程度の安静が要求されている。
つまりは図書コーナーがあろうとも当面は本を借りにいけない。
……誰かこいつにつける薬をお持ちではありませんかー? 9mmパラベラムあたりがよく効くと思いますよー?
数日は全面スマホに頼るとして、その後は時間に融通が利きそうな友人に本の差し入れを頼むことにした。
他にも今日で手配がつかなかったことをいくつか脳内のメモにまとめて早々に寝てしまうことにする。見たいテレビもないし衛星放送も入らないし見たくない番組を見てもテレビカードは減る。起きてるといくらでもパケットが雲散霧消していくし。
明けて翌日、同居人のために各所へ手配を行う。こういう無理難題を振られることに慣れているのか各所の皆様方には同情的かつ柔軟に受け止めていただけたことは幸いである。
一番困ったのは同居人の食事だ。
普段通りならば朝はまあ何か適当に食べている。昼は出先で食べたり家で食べたりと安定しないがどうにかやっているらしい。
問題になるのは夜。入院前に手近なところで手配を試みたのだが融通が利かずに断念したのだ。木曜に発注かけても再来週の月曜スタートではあまりにあまりである。
とりあえずそちらも伝手を頼ってどうにか翌日夜から宅配してもらえる弁当屋さんとの契約が整い一安心。
「つーわけで今日一日何とかしのいでくれ」
『わかった』
そのわかったにはひとかけらの信頼もおけないが、現状では信じるほかない。
自宅の懸念がいくつか解消されたので、続いては自分の懸念を解消する。
とはいえ基本は安静、トイレまでの移動すら辛いし座るのすらやんわり止められてるし背中が痛くて寝返りも打てないから基本は上を向いているだけ。スマホか本か寝るかの三択しかないが本に関しては友人を待つのみだ。
トイレも予兆を感じたらすぐに行くようにした。何しろ起き上がることすら一仕事。歩くのも速度を上げられないので、もうちょいねばれるとか考えてると起き上がりやゆっくり移動中にクライシスを迎えることになりかねん。
いくつかの懸念に入るのは体力や運動機能の低下だろう。少なくともコルセットの出来上がるまでの一週間の安静でただでさえなまっている体は確実になまる。
というわけで入院二日目からリハビリ開始である。
回数は午前と午後の一回ずつ、作業療法士と理学療法士がどちらかで来てくれることになった。
この両者は『体の動きを落とさないようにする』作業療法士と『筋力を落とさないようにする』理学療法士という感じだったように記憶している。
当初は病室のベッド上での運動のみ。ざっくり言えば軽い筋トレと柔軟なわけだが、このりゅう、生来体は硬い(某四人組の月光風)。そこに背中の痛みが加わると両者ともかなりの苦痛でございました。
ただまあやるべきことはこれしかない。とにかく作業療法と理学療法で体力を維持しつつ、コルセット待ちの日々を送ることになる。
他にも不調が出たのだが、あまりきれいな話でもないので念のため折りたたんでおく。