2017年2月24日金曜日

【映画感想】ドクター・ストレンジ

スティーヴン・ストレンジ。職業、神経外科医。
天才的な技術を持つが、才に驕る傲慢さを隠さない性格で敵も多い。
その性格が招いた交通事故で腕の神経を損傷し外科医としての命脈を断たれた。

失意の彼に届いたのは、彼に門前払いされた患者が全快したという話。
わずかな手がかりを頼りにカトマンズへ向かう。目指すは魔術結社カマー・タージ。

事故で失った神経の代わりを魔術に求めたドクター・ストレンジは、会得した魔術によって世界の深遠を知り、精神世界の闇と戦うことになる。


とまああらすじと能書きを垂れてみたが、別にこんなこと知らなくても冒頭五分のカマー・タージの首領エンシェント・ワンと元弟子カエシリウス達との戦闘を見れば映像でトリップできること請け合いだろう。
壁がうごめいて起き上がり重力が好き勝手な方向にゆがんでいく視覚系ドラッグなシーンは、映画『インセプション』の夢の中のシーンを思い起こさせる。3Dで鑑賞したほうがよりトリップ度が高いかもしれない。2D版を見た身としてはちょっと悔しい(笑)

今回のヴィラン役カエシリウスがまたもこたマッツ。

そして、この冒頭のバトルシーンの描写で、ドクター・ストレンジシリーズがこれまでのマーベルヒーローと一線を画すことを高らかに宣言する。超人だろうがスーパーパワードスーツだろうが、ましてや神だろうが逃れられなかった物質世界の法則からから軽やかに飛びのいてくれたのだ。万華鏡のように街を持ち上げていく映像の見せ方と相まってなかなかの衝撃を喰らうはず。

予算もかかったろうな。

主人公スティーヴン・ストレンジを演じるのはベネディクト・カンバーバッチ。TVドラマ『シャーロック』の主人公ホームズ役だが、人によってはフォトボムのベネと言ったほうが通じるかもしれない。詳しくは検索を(笑)
このストレンジ氏の鼻持ちならない性格と医者としての才能を、短い時間ながらもしっかり印象付ける演技あってこそ、続く挫折と復活がなかなかに良く見えてくる。

あとはVFXで目の前に繰り広げられる魔術を楽しめばいい。見せ方がうまいのでどんどんと引き込まれるのだ。

この映画のキーワードは『時間』。
カエシリウスが狙うのはエンシェント・ワンの持つ時間操作の魔法であり、そのエンシェント・ワン自身も年齢不詳ときな臭さが漂う。
ドクター・ストレンジが時間に挑む様子も注目である。


マイティ・ソー新作にも絡む描写があったりアベンジャーズ参戦っぽかったりするので、まだまだマーベルシネティックユニバースは続くというところなのだろう。
なかなかに楽しみだ。


最後にネタバレ。スタン・リーは出るよ!(笑)

2017年2月13日月曜日

【映画感想】スターウォーズ ローグ・ワン

少女は、父を帝国にさらわれた。
科学者だった少女の父は、帝国で惑星破壊兵器を開発させられた。
成長した少女は帝国に挑む。父が惑星破壊兵器に意図的に残した欠陥を、同盟に知らせるために。
これはエピソード4へ至る物語。


エピソード4でレイア姫がデススターについて語った「この設計図を手に入れるために、多くの犠牲を払いました」という一文を、人名付きでスターウォーズサーガに組み込んだのがこの映画である。

『多くの犠牲』が最終的に『払われる』ことが確定している物語なのだから単純な勧善懲悪活劇とは言い難い。しかしフォースもなければまだジェダイもいない同盟軍の中から、事情有りで同盟軍の裏方だった連中と共に独立愚連隊として帝国に一泡吹かせる様子はなかなかに痛快だ。
これまでの映画でエエモン面して描かれていた同盟の汚い側面の一端が暴露されるのも見もので、そういう臭いものにフタした上で会議を躍らせた挙句に傍観決め込もうってんだから輸送船ちょろまかすくらいはお目こぼししてくれてもいいかと思う。

サブタイトルにもなっている『ローグ・ワン』の名前も、離反の時にとっさに口に出してしまった主人公たち独立愚連隊のコードネームでしかないはずなのだが、裏方連中の出自や主人公の育ちも加味すると実にぴたりとハマる。

ジェダイのようなすごい力もない。
公式なサポートもない。
それでも彼らは自分たちの経験と発想を頼りに状況を打開しようとしていくのだ。そういう普通の人たちの頑張りは見ておくべきだと思う。

スターウォーズに思い入れがあるなら当然見るべきだが、ざっとした知識しかなくても十分に楽しめるSFアドベンチャーに仕上がっている。
上映終了が間近だとは思うが、見て後悔はしないと思う。たぶん。



2017年2月4日土曜日

【映画感想】艦隊これくしょん劇場版

映画感想のジェットストリームアタックもここにて終了。いざ劇場版艦これへ。


敵輸送船団と護衛の撃退に成功した吹雪たち一行は、その直後に呼び声にも似た奇妙な音を聴く。
同時に始まった海の色の変化によって艤装にダメージが入る中、輸送船団から見つかったのは、あの時轟沈したはずの如月だった――。


この劇場版は、惨劇とも言えるほどシナリオ的に爆死したテレビ版の後日談である。


テレビ版で何が起こったかをざっくり羅列すると。

・やりたかっただろうギャグどころかギャグ回も滑ってる
・ギャグのすべりがシリアス方面にも悪い影響を与えてる
・声すら出さないことにした提督の空気っぷり
・それでもシナリオに食い込んでくる提督
・戦闘シーンで目立つ棒立ちと消化ゲーム感
・ラストバトルの回転寿司風味艦娘カットイン
・轟沈の悲劇を伝えるためとはいえ、そのために出したとしか思えない如月が完全なる出落ち兼使い捨て

最終項目は滂沱の血涙を流した如月提督も少なからずいたのではなかろうかと思う。
あまりにひどい使い捨てっぷりに、私もよほどここで切ろうか考えたほどである。

カレー回に落胆し、ラストバトルで幻滅するまで付き合ってしまった自分を激しく責めたい。

良質なはずの素材からよくもまあここまでやりやがったと、本放送時には肩を落としたものだ。


ゲームには肩までどっぷりつかりこんだ駄目提督なので、正直に言うならお布施やむなしの思いで見に行ったわけではあるが、声を大にして言いたい。

なぜこれをテレビでやれなかった!?

演出込みでこれが出来てたら不評もなく爆死でもなかったんだよなぁ……。


敵の深海棲艦がなぜ出現するか。撃沈した深海棲艦たちはどこへ行きどうなるのか。
また轟沈した味方の艦娘は、といったゲーム中の疑問に、ある一定の道筋をつけるシナリオになっていたことは評価すべきだと思う。
こと如月提督は救われたのではなかろうか。


そしてほんのりとだけど、主人公の吹雪が特別な存在である理由も語られる。それは納得もいくし、必然でもある。


まあ文句をつけたいところもある。

遠隔地での作戦ということで提督不在の違和感を減らしてはいるものの、長門が秘書艦というよりは全権代理人のような扱いになっていて提督の空気感は加速している。
ゲームとしてあまりに有名になりすぎていてどんな提督像を出しても一定数は反発を買うだろうことは分かるが、おかげで指揮系統も軍組織の構造すらもうやむやになっているのは問題だろう。
もう全部提督抜きでいいのか?(笑)


最後に。
テレビ版からは比べるべくもないほどの良作であり、テレビ版ならずゲーム版の一部に対する答を用意したという点においても評価すべき作品である。
本放送時テレビの前で砂かハンカチかを噛んだ人にこそ見てほしい仕上がりだ。最悪お布施するつもりでもかまわないので見に行ってほしいと思う。

その上でもう一度繰り返す。
なぜこれをテレビでやれなかった!?