2016年2月24日水曜日

【映画感想】オデッセイ

2016年現在、宇宙開発における事故において大気圏外で命を落とした人間はいない。


三度目の火星探査ミッションは、想定以上の嵐に見舞われたことで船長が中断を決定した。
前も見えぬ嵐の中居住ブロックから脱出ポッドまで移動中にクルーのワトニーが飛んできた機材に吹き飛ばされてしまう。
最後のワトニーからの通信に乗ったのは減圧警報。現地のクルーもNASAもワトニーは死んだと判断した。

だが、ワトニーは偶然ながら生きていた。誰もいない火星上で。

救援を呼ぶための通信アンテナは嵐で失われた。
食料も足りる量ではない。
次の火星探査ミッションが行われるまで四年。居住ブロックは長期使用を前提としていない。

それでもワトニーは帰るために生き延びねばならない。残されたものと、植物学者としての彼の知識を生かして。



感想としてはツイッターのタイムラインで流れてきた『DASH星』この一言に尽きる。
腐るほどあるのは時間くらいでとにかくありとあらゆるものが足りないのだ。

まず筆頭に上がるのは食料。火星探査ミッションのクルー7人分の食料が予備ごと残されていても、四年食いつなぐには到底足りない。どうにかして食料を調達する必要があるのだ。
調達までの過程に彼の知識が遺憾なく発揮されるわけだが……そこに至るためのとある『ブツ』の開封シーンは嫌だったろうなぁ、と(苦笑)

生活水以外で使いたい水も作る必要がある。

通信手段を復活させるくだりには膝を叩かされた。まさしく火星に残されたものの有効利用。科学の子としては納得も出来るし必然だった。


その間、地球側も手をこまねいていたわけではない。
次の探査ミッション開始までの時間を短縮出来ないかに始まり、救助のための各種手段の模索が続く。途中でワトニーからの通信にも対応する必要に追われた。

諦めなかったからこそ生まれた、起死回生の一手。
結果がどうなるかは劇場で確認してほしい。

諦めないということは一つの才能である。


SF好きとしては見ておくべき一本だろう。



繰り返すが、2016年現在、宇宙開発における事故において大気圏外で命を落とした人間はいない。
その伝統は守り続けてほしいものである。

2016年2月15日月曜日

【映画感想】さらばあぶない刑事

十年ぶりに、あいつらが帰ってきた!

「タカ」
「遅かったな、ユージ」

それは横浜港署の問題刑事タカとユージが過ごす定年までの最後の五日間。

二人が元銀星会で現闘竜会幹部の伊能を検挙する寸前で謎のバイク男に邪魔され、惨殺死体となって発見される。
中南米マフィアBOBによって行われた伊能の殺害と闘竜会の乗っ取りで、今まで辛うじて釣り合っていた横浜裏社会の均衡が崩れていく。
目的はBOBの日本進出。その足掛かりとして港町横浜が狙われたのだ。

ビジネスマンを自称するBOB幹部キョウイチ・ガルシアの魔の手から、二人はハマを守れるのか。



バブル真っ盛りのあの時代、田舎のさえない小太りのクソガキにとってタカとユージはまぎれもなくヒーローだった。
洒落たスーツに隠れたホルスターから抜かれた拳銃を撃ちまくり、どんな不利な状況でも二人のみならず周囲を巻き込んだ軽口で切り抜けるあの型破りなスタイルに憧れたものだ。
おそらくこの年まで続くワイズクラック好きは、あぶない刑事によって基礎工事が行われたのだと思う。育ったのは銀英伝のおかげでもあるけど。

そういう下地があるので、やっぱりあぶない刑事はさくっと受け入れねばならない。

だからこそ何の飾り気もない冒頭の一言だけで精神がガキの頃に巻き戻るのだ。
遅かったなと言いたいのはこちらである。十年も待たせやがって。


相対するキョウイチ・ガルシアを演じるのは吉川晃司。タカ・ユージに負けず劣らぬビジュアルと撮影直前の骨折を感じさせないアクションはさすがの強敵というと事だ。

敵は強大で相変わらず分が悪い。それでもあの二人は軽口をたたきながら向かっていく。
これが最後だと思うと少し寂しい気がするが。まあどうせ今までだって死んだという状況から復活したりしてきたんだけどな。


年を経てわかることもある。

R35のGT-Rだ、ゴールドのレパード復活だ、だのと車両界隈が賑わう映画の冒頭に、ぽんと出てくる4ドアのR34スカイライン。何が担当かという想像は容易で、得てして嫌な予感はよく当たるものである。南無。


ここまで娯楽に振り切った邦画というのもそうはあるまい。
ジャッキー・チェンやジェット・リーを代表するカンフーアクションに昨今のド派手なハリウッドアクションを見慣れてるとアクション演出に物足りなさを感じそうになるが、今の規制(と予算)が厳しい邦画にあって努力してる作品だと思う。
聞き慣れたセリフも聞けるし、見慣れた人物が異動したり定年後の人生を歩んで再登場したりと旧来からのファンに対するサービスもばっちりである。ニヤニヤが止まらない。

大丈夫。飛び切り派手なサヨナラに、後悔はさせないから。


2016年2月4日木曜日

悪影響を消し飛ばせ(笑)

喫煙シーンある映画は「成人指定」に、WHOが各国へ勧告(Jキャストニュース)

ええっと、WHOは「映像や映画に影響を受けなければ子供は聖人君子に育つ」とおっしゃると。

すみません。自分、草生やしてもよろしいでしょうかwwwwwwwwwww


寝言を抜かすな。
未成年の飲酒喫煙を止めるのは親の仕事だろうが。広告や映像より親の影響力は低いのか?



「カッコよく煙草を吸うのが良くない」と言うなら、「カッコよく敵を殴り飛ばす」シーンも規制すべきだ。たいていヒーローのごっこ遊びで悪者役にされて暴力を振るわれるのはいじめられっ子だ。
格闘技の放送もしかり。

あーそうそうアニメの探偵ものも規制すべきだね。あんなに理不尽に人が殺されるのは子供の健全な育成を阻害する。
単なる鉄道への飛び込みだってのに運悪く小学校の下校時間だったために「これは殺人だ!」って大声で叫ぶガキを見たことがあるもので。



似たようなことはナイフの規制でも起こっている。

映画でジャックナイフが使われたことで模倣犯罪が起こった時、当然のように行われたジャックナイフの規制に困ったのは犯罪者ではなく登山やスカイダイビングをやってる人たちだった。
片手しか自由にならないとき、ロープを切るためには片手で繰り出せるナイフが必要なのだ。

そんなことに耳を貸さず規制した結果、犯罪者側は別の刃物を使い(笑)、彼らは別の片手で繰り出せるナイフを探し、バタフライナイフに至る。

そしてバタフライナイフによる模倣犯罪が起こり、再び犯罪者は以下略(笑)、彼らは以下略となるのだが、そのナイフはそれほどカッコいいものでもないのでいまだに映像でも犯罪でも使われていない。

両刃式のダガーナイフが規制されたときも牡蠣漁師たちが一方的に困っただけに終わる。


一方的に規制したって煙草を吸うガキは減らないし刃物による犯罪も防げない。本当に規制しただけに終始してしまうことは数多い前例からも明らかだろう。

不都合なものから目をそらしたところで不都合はなくならない。
目を見開いて向かい合え。どうしてそうなったかを徹底的に考えろ。考えることもできないなら、いい年こいた大人たちが規制の大義名分を掲げた暴挙に出たってだけだ。違うか?

それでも規制するのが権力者の特権だと言い張るならおやりなさい。どれほどの名作が規制の名の元に改悪されるか見ててやるから。

規制がもたらす未来? んなもんジョン・プレストンのいないリベリオンの世界だろうよ。


「幸福は義務です。市民、貴方は幸福ですか?」