2015年12月30日水曜日

ニュル北原器の危うさ

ニュルブルクリンクというサーキットがドイツにある。
有料で一般に開放され観光名所としても走行可能なノルトシュライフェ(北コース)とGP用に整備されたコース双方を合わせた総称であるが、カーキチならば北コースのほうをよくご存じのことと思う。ニュル北などと称されることもある。

設計が古いことから高速な割に道幅は狭く、激しいアップダウンと狭いエスケープゾーンと無数のブラインドコーナーを持ち、路面は荒い。世界一タフなサーキットと称されるのも納得だ。
事故も少なくない。有名なものと言えば昨今映画にもなったニキ・ラウダの炎上を思い浮かべる人も多いと思う。

そんなタフなニュル北は自動車メーカーがテストでよく使う。高速からのブレーキ以外すべてをテストできるコースは他にないと言われるからだ。


ただ、このニュル北を指標とするのは、サーキットは公道ではないという点においてかなり危険じゃないかと考えている。


ニュルで何秒のラップを刻もうが日本の道路では100km/h以上出してはならない。

その先の速度域でどれほどハンドリングが鋭かろうが直線で安定していようがブレーキが平然と効こうが、余剰を余裕として性能や快適性に振り分けても基本的に無駄である。

その速度を楽しむためにはサーキットへ行くかサーキットの速度域を違法に甘受するかの二択しかない。
サーキットだけを原器にするのは非常に危険じゃないかと思うのだ。


もっとも、フェラーリに比べればニュル北を原器にするのはかなりマシだと思う。比較的フラットなフィオラノサーキットを基準にし続けた結果、ディフューザー等路面がフラットなことで成立するエアロパーツで構成されたマシンは危うさを感じさせる。
公道車の車体はエンジンのおまけと言い切ったエンツォのメーカーらしいと言えばらしいのだけれど。


そしてニュル北のタイムを狙う車両にしたせいで車両代は跳ね上がる。
イギリスでのシビックタイプRの価格は、スバルSTIから1000ポンド安いだけだ。
ここまでくるとどこを狙った車両なのかもわからない。安全に速くというなら4WDのスバルに分がある。そしてニュルで見せるシビックの切れ味は、公道ではちょっと試せない速度での話だろう。


昔のシビックはもう少しコゾー向けだっただろう。
気が付いたらちまちまとシビックも成長し、ちょっと小金を持った当時のコゾーが昔を懐かしんで買うような車になってないか?

サファリラリーが市販車の耐久テストを兼ねていた時代もあったことは認めるが、当時は箱根すら舗装されてなかった時代だ。サファリの過酷さが砂利道での耐久性を保証してくれるなら十分な実走テストとなるだろう。
ラリー好きだからちょっと身びいきがあることは認める(笑)

ニュルブルクリンクは過酷だ。
ただ、そのタイムを出せる技術があるからと言って誰もが高性能を堪能できるわけではない。

もう少し公道に目を向けたスポーツカーが作れないものか。
今のままではスポーツカーは手の届かぬ『酸っぱい葡萄』というだけでなく、下手に食べたら免許が危うくなる毒入りでしかないのだから。



さて。
最後にひとつの動画を紹介したい。





こちら、ナンバー付き市販車初のニュルブルクリンク北コース7分切りを達成したラディカルSR8のオンボード画像である。

何がすごいかって、この走行、一般解放の走行時間から某メーカーの貸し切りテストに移行するタイミングで、メーカーの厚意で貸し切り時間に食い込む許可をもらいワンラップだけ走行した際に叩き足した記録なことである。


ちなみに2015年末時点で、7分切りを達成している市販車はパガーニのサーキット専用車ゾンダRと、ラディカルが自車の記録を破るために持ち込んだ(ル・マンのサルテサーキット等)公道サーキット専用車SR8LM、ポルシェ918スパイダーフェラーリのサーキット専用車599XXのみとなる。

ラディカルはイギリスの自動車メーカーで、ポルシェやフェラーリ、パガーニとは規模が段違いに小さい。
だからこそ判官びいき気味な私は応援してやまないのである。






ニュルブルクリンク北コースでは24時間レースも行われている。
そのうちの2005年度、我らがHT81Sが日本からプライベータ―が長躯参戦、クラス優勝を飾っている。

サーキットがすべてではないが、同じHT81S乗りとしてちょっと誇らしい。

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