でも今回も懲りずに行くぜ。見てきたのは『コードネームU.N.C.L.E.』だ。
時は1963年。東西の冷戦が緊張感を増し、その接点であり最前線でもある東西に分かれたベルリンに壁が立ち上がった時代。
そんな難しい時期に東ベルリンを訪れた男がいる。
彼はCIAのるエージェント、ナポレオン・ソロ。核科学博士の娘ギャビーを亡命させ、父親が行っている新型核爆弾の開発を止めることが目的だ。
いざ脱出の段階に入った時、手荷物に盗聴器が仕掛けられていることに気付く。
KGBの追手は恐ろしい身体能力でソロとギャビーを追い詰めるも、すんでのところで壁越えに成功した。
次の任務の説明中に現れたのは、最年少でKGBに入隊したエージェント、イリヤ・クリヤキン。先日東ドイツで派手なチェイスをやらかした相手。
「まことに残念だが、アメリカとソ連が手を組むほかない」
ギャビーの父は東西どちらも関わらぬ場所で新型核爆弾の開発を行っていた。居場所を知るものは彼の兄弟にしてギャビーの叔父のみ。完成した核爆弾はナチスの残党に渡される。最悪でも核爆弾の運用は阻止しなければならない。
元金庫破りにしてプレイボーイ。有能な問題児、ナポレオン・ソロ。
その上でギャビーの父を保護し、彼が核開発のデータを記録したディスクを回収すること。
ディスクの回収のためには相手を殺してもかまわない。
元金庫破りにしてプレイボーイ。有能な問題児、ナポレオン・ソロ。
驚くべき身体能力を持つが精神面に不安を持つイリヤ・クリヤキン。
世界の運命は二人に託された――。
冷戦の只中を舞台にしながら東西対決にせず、あえてナチスの残党を引っ張り出してきたところはかなりの好物。そして彼らは吸血鬼を従えて南米へ逃げるのである。
そしてナチスと対峙するために東西が協力するシークェンスなんかはもうたまらない。おかげで原作キャラのソロとイリヤが望まぬ協力体制を強いられる、バディムービーならではの対立も無理なく作り上げた。
主役二人の対比もいい。
犯罪者でありながら恩赦のためにスパイとして活躍するソロは、かつて第二次大戦時には従軍先のドイツで美術品専門の盗賊を行うなど、己が立ち位置を私用する描写がなされている。
そこはCIAにおいても変わらなかったようだが、お目こぼしもあって現状維持。ちょろまかした予算で服や装飾品に糸目をつけず浮名を流すことにも余念がない。
かたやイリヤはといえば、もともと良い家柄だったものが父の横領によりおじゃん。その後の収容所暮らしを経て家柄を取り戻そうと自らを抑圧した結果、精神面は未熟でもろいものの最年少でKGBに入隊できるターミネーターのごとき肉体と知識を持つにいたる。
そう、スパイ映画としては稀有なバディ・ムービーなのだ。
この二人を、当事の音楽と背景とファッションが包む。
頑張って当時の雰囲気を再現しようとするのはいい姿勢だと思う。おかげでカーチェイスシーンが少なくなっても仕方ないだろう。出てる車両はほとんど全部実走可能なホンモノだろうし。
カーキチのみなさんお見逃しなく。先代ムルティプラのタクシーなんてコアなものから、サーキットを走るフォーミュラ系に至るまで実走車。
強いていうなら序盤でカーチェイスに使いお茶目にクラッシュさせるトラバントにレプリカの疑いを持ったのだが、1991年まで製作していたことと2007年に復活するような話があったところから、当時モノとは言えなくとも修理しやすいモデルだったのだろう。
シナリオには満足している。
この手の複数の裏方が陰で静かにぶつかり合うタイプの映画では、その裏方の動きを把握あるいは推測するのも一仕事な作品も少なからず見受けられるが、この映画はガイ・リッチー監督の前作『シャーロック・ホームズ』シリーズでもやったようにいくつかの場面において分かりやすくプレイバックしてくれる。
おかげで観客はシーンにかじりついて覚える必要はない。肩の力を抜いて楽しめると思う。
ジョークに関しても満足だ。なぜこのシーンで大声で笑えないのかと悔やむくらいだ。
生真面目なイリヤが閉鎖された湾内で必死にボートチェイスを行う一方、ボートチェイスどころかボートから脱落したソロは近くに止まっていたトラックで身なりを整え、好みの音楽を聴くためにラジオを付け、あまつさえ運転手のものらしきサンドイッチやワインに舌鼓を打ちさえする。この対比と来たらもう大喝采である。これこそバディ・ムービーの見どころだ!(笑)
そしておそらく多く語られるであろう今年度のスパイムービーの傑作のひとつである『キングスマン』との対比も、うちでも語っておこうと思う。
キングスマンのコンセプトは「60年代のスパイとスパイムービーのテイストを現代劇に蘇らせる」である。
対してコートネームU.N.C.L.E.は「現代映画の文脈で、60年代のスパイムービーをリメイクする」だと感じた。
なのでキングスマンではパリッと決めたスパイそのものが現代から浮いて見えることを承知した上で、あえて周辺にチンピラピラとした人物をちりばめたことで紳士たるキングスマンを浮き上がらせた。現実離れしたキングスマンのアシを地に下ろすのはコリン・ファースの重厚な演技による。見事。
コートネームU.N.C.L.E.では、冷戦という背景もあってスパイはそこまで日常離れしているわけではない。伊達男がスパイをしていることが日常離れしているだけだ。
どちらも楽しめる仕上がりだ。よきかなよきかな。
最後に。
この映画のラストシーンはイスタンブールで終わる。
しかし原作の『0011ナポレオン・ソロ』の日本未公開の第一話は、イスタンブールから始まるのだ。
リブートではあるがあえて舞台を現代にしなかったのは英断だろう。続編も期待したいところである。ロシア語の勉強が実ったかすごく気になるし(謎)
そしてネタバレ的なネタを区切ってポロリ。
そしてナチスと対峙するために東西が協力するシークェンスなんかはもうたまらない。おかげで原作キャラのソロとイリヤが望まぬ協力体制を強いられる、バディムービーならではの対立も無理なく作り上げた。
主役二人の対比もいい。
犯罪者でありながら恩赦のためにスパイとして活躍するソロは、かつて第二次大戦時には従軍先のドイツで美術品専門の盗賊を行うなど、己が立ち位置を私用する描写がなされている。
そこはCIAにおいても変わらなかったようだが、お目こぼしもあって現状維持。ちょろまかした予算で服や装飾品に糸目をつけず浮名を流すことにも余念がない。
かたやイリヤはといえば、もともと良い家柄だったものが父の横領によりおじゃん。その後の収容所暮らしを経て家柄を取り戻そうと自らを抑圧した結果、精神面は未熟でもろいものの最年少でKGBに入隊できるターミネーターのごとき肉体と知識を持つにいたる。
そう、スパイ映画としては稀有なバディ・ムービーなのだ。
この二人を、当事の音楽と背景とファッションが包む。
頑張って当時の雰囲気を再現しようとするのはいい姿勢だと思う。おかげでカーチェイスシーンが少なくなっても仕方ないだろう。出てる車両はほとんど全部実走可能なホンモノだろうし。
カーキチのみなさんお見逃しなく。先代ムルティプラのタクシーなんてコアなものから、サーキットを走るフォーミュラ系に至るまで実走車。
強いていうなら序盤でカーチェイスに使いお茶目にクラッシュさせるトラバントにレプリカの疑いを持ったのだが、1991年まで製作していたことと2007年に復活するような話があったところから、当時モノとは言えなくとも修理しやすいモデルだったのだろう。
シナリオには満足している。
この手の複数の裏方が陰で静かにぶつかり合うタイプの映画では、その裏方の動きを把握あるいは推測するのも一仕事な作品も少なからず見受けられるが、この映画はガイ・リッチー監督の前作『シャーロック・ホームズ』シリーズでもやったようにいくつかの場面において分かりやすくプレイバックしてくれる。
おかげで観客はシーンにかじりついて覚える必要はない。肩の力を抜いて楽しめると思う。
ジョークに関しても満足だ。なぜこのシーンで大声で笑えないのかと悔やむくらいだ。
生真面目なイリヤが閉鎖された湾内で必死にボートチェイスを行う一方、ボートチェイスどころかボートから脱落したソロは近くに止まっていたトラックで身なりを整え、好みの音楽を聴くためにラジオを付け、あまつさえ運転手のものらしきサンドイッチやワインに舌鼓を打ちさえする。この対比と来たらもう大喝采である。これこそバディ・ムービーの見どころだ!(笑)
そしておそらく多く語られるであろう今年度のスパイムービーの傑作のひとつである『キングスマン』との対比も、うちでも語っておこうと思う。
キングスマンのコンセプトは「60年代のスパイとスパイムービーのテイストを現代劇に蘇らせる」である。
対してコートネームU.N.C.L.E.は「現代映画の文脈で、60年代のスパイムービーをリメイクする」だと感じた。
なのでキングスマンではパリッと決めたスパイそのものが現代から浮いて見えることを承知した上で、あえて周辺にチンピラピラとした人物をちりばめたことで紳士たるキングスマンを浮き上がらせた。現実離れしたキングスマンのアシを地に下ろすのはコリン・ファースの重厚な演技による。見事。
コートネームU.N.C.L.E.では、冷戦という背景もあってスパイはそこまで日常離れしているわけではない。伊達男がスパイをしていることが日常離れしているだけだ。
どちらも楽しめる仕上がりだ。よきかなよきかな。
最後に。
この映画のラストシーンはイスタンブールで終わる。
しかし原作の『0011ナポレオン・ソロ』の日本未公開の第一話は、イスタンブールから始まるのだ。
リブートではあるがあえて舞台を現代にしなかったのは英断だろう。続編も期待したいところである。ロシア語の勉強が実ったかすごく気になるし(謎)
そしてネタバレ的なネタを区切ってポロリ。