2015年10月25日日曜日

VW排ガス問題を愚考する

まず大前提。私はVWのラリー撤退は避けてほしいと願っているしがないラリー好きであるが、排ガス問題に関してVWを擁護する気は一切ない。そこを踏まえてもらえると幸いである。


その上で誤解を恐れずに言うなら、排ガス対策や燃費改善に関してはどんなメーカーでも大なり小なりセコい手を使っているモノである。
何しろテストコースや走行パターンなどは条件の統一もあって公開されている。試験範囲どころか問題が分かっているのに試験対策をしないヤツはいないだろう。いたとしたら悪い意味での馬鹿だ。
燃費をよくするためには、指定された走行モードに最適化したプログラムを組んでエンジンやATを制御すればいい。
MTはギアポジションすら指定されるがATでは固定が不可能だという裏を突いて、シフトタイミングもテストに合わせて最適化する。おかげで実質燃費はともかくカタログ記載上は『MT<AT<CVT』となるわけだ。
「車両からの指示でシフトしてもらえればMTでもATに迫る燃費を出せます」とエンジニアが答えた例もある。MT車両から見れば走行モード指定こそが燃費を落とす原因だという話。


もちろん燃費改善は設計からも行われている。
最近採用数が増えている電動パワーステアリング、これも燃費改善策のひとつ。エンジンパワーのロスを減らすことが燃費改善につながるんだそうな。そこで浮くエンジンパワー、実に3%。

そんなことの前にロックアップしてないトルコンで10%くらいロスしてたり、CVTでも構造上すべりやベルト圧着のための油圧で損失出たりするのはどうにかした方がいいと思う。
それでも燃費が(書類上)MTよりいいのはテスト用にプログラムを最適化して効率のいい部分のみ使えているおかげだ。CVTはより顕著で、無段階変速をいいことに最適化の嵐だとか。

更に設計レベルなら日本での燃費削減達成率もだ。
日本の制度では車重によって燃費目標が決められるのだが、目標値は階段状になっている。車種によっては専用の燃料タンクを作ってまでその階段に落とし込むってんだから堂に入ったものだ。

その上声を大にして宣伝に使う低燃費車は数値スペシャルみたいな低燃費グレードを準備してたりする。豪華な装備をつけず、あちこちを快適性や便利さを犠牲にした実用性の薄い、まずカタログでしかお目にかかれないモデルだ。
声高に『燃費○○キロ/リッター達成!』なんて広告に出すモデルはほとんどそう。そこまでして数値を引っ張りたいかと。

ただし低燃費にこだわる理由は分かる。
少しでも燃料の消費が減れば、それだけ排ガスの汚い部分は少なくなる。浄化システムにかかる負荷が減るのだ。


ここまでの工夫は「問題が分かってるんだから最適解を出せるよう準備しておく」ものだった。
さあお待ちかねVWの問題へ移る。
彼らがボッシュと組んでやらかしたのは「回答記入済みの答案用紙をテスト会場に持ち込んだ」ようなものだ。
パワーダウンと引き換えに排ガスをきれいにするプログラムを準備しておいて、テストモードと判別できたら切り替えるなんて普通はやらないだろうことをVWはやってしまったのだ。プログラム提供元のボッシュは実走時には使うなと宣告してたらしいんだが、当然ダチョウ倶楽部的なフリだろ?
そもそもその辺のモード変更の仕込みだってある程度ボッシュがかかわってるんだろうし、宣告自体もあやしいものだ。

VWがやったことは当然まずいわけだが、やったところがアメリカって環境ファナティック国家でやらかしたところがまたまずい。
自国メーカーどころか世界中でホンダしか期限内に達成できなかった排ガス規制『マスキー法』を始め、アホほど環境にうるさい国である。

そのくせ環境テロリストは排ガス清浄化の名のもとに、ガス喰らいの筆頭だったハマーH1を盗んで野焼きするくらい環境に無頓着だったりするんだが(実話)

アメリカのファナティックな大気浄化法をクリアできた日本のメーカーが、なぜアメリカでディーゼルを展開しなかったかをVWは忘れていたようだ。
アホほど環境にうるさい国でディーゼルを売りたいがためにチートをやらかしたんだとしたら相当のアホウだ。訴訟大国アメリカでガリガリと訴訟と賠償の嵐に巻き込まれていただきたい。

おそらくはこれまでの利益どころか本社がススになるくらいまで絞り取られると思うがな。


ちなみにVW、日本には並行輸入以外でディーゼルを輸入していない。日本の排ガス規制とそのテスト法はそこまで厳しいのだ。






え? 日本向けのプログラムが間に合わなかっただけだろうって?
武士の情けだ。言ってやるな(笑)

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