2014年12月31日水曜日

年末の香り

この時期になると思い出す餅つきの記憶は、なぜか薪の香りとセットになっている。


たまたま近所の方が臼杵セットを持ち合わせていたため、頼んで餅つきをさせてもらっていた。

前日からもち米を水につけ、暗いうちから蒸し始め、ちょうどよく蒸し上がる直前に私を起こしにくる。
餅をつく場所は先方の小さな車庫。
時計型の薪ストーブからはちょっとの煙たさと独特の薪の香り。蒸されたもち米は炊飯の時と違う甘く香ばしい香りを立てて寝起きの私を空腹にさせる。

そのつき上がる様子、もち米が餅になって変化する香り、その力強さ、いまだに覚えている。


餅つきの日は決まって納豆餅だった。
つきたての柔らかい餅を小さくちぎり、納豆と混ぜて食べるけっこうお気に入りの食べ方なのだが、これがクラスでも誰も知らない食べ方であった。
……祖父の出身地である山形独特の食べ方だと知ったのはそれなりに年を食ってからだった。


こちらはのし餅の地方なので専用の箱に入れて伸ばしておく。
数日後に切るのがまた大変なのだが、日にちによっては大晦日になることもある。それこそ紅白歌合戦をBGMに作業するのも年末らしい光景として記憶している。


今思えばあれほどの手間と機材と場所を提供してもらっていたのだから、いくばくかのお礼もしていたのだろうか。すでに確認する手段はない。

臼杵の持ち主の方が体調を崩したことで餅つき行事もなくなり、餅を買うようになり、育ち盛りのよく食うガキだった自分も以前ほど食べなくなり、大量の餅を見ることもなくなった。


だが、年末というとあの餅つきを思い出す。

薪の香り。
もち米の香り。
餅の香り。

いまだに忘れ難い記憶である。


今年もあと数時間で終わる。そこに餅つきや餅切りといった行事がないことは、ちょっと寂しくもある。

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