2014年1月16日木曜日

【映画感想】ゼロ・グラビティ

今年最初の映画の感想は遅まきながらの『ゼロ・グラビティ』。
年末進行の忙しさに加え体調不良もあいまって見に行く詐欺をやらかす寸前だったが、どうにか終了前に見に行けた。すでに深夜帯に時間が割り振られてる『REDリターンズ』は無理そうだけどな。


事前報告。この作品のWikipediaは映画を見る前に読んじゃいけません。ネタバレ、つーかストーリーがハナからケツまで書いてるためえらく興ざめします。


スペースシャトル『エクスプローラー』によるSTS-157ミッションは、ハッブル宇宙望遠鏡の修理というミッションの山場を迎えていた。
しかしロシアが行ったスパイ衛星の撃墜処理で生み出されたデブリが周囲の衛星を巻き込んで爆発的に増加、エクスプローラーをデブリの雲に巻き込んでしまう。
望遠鏡修理のため船外活動中にデブリに遭遇し、自身を固定していた作業アームごとエクスプローラーから吹き飛ばされたエンジニアのライアン・ストーンは、機動ユニットを装着して船外活動を行っていたリーダーのマット・コワルスキとなんとか合流する。
スペースシャトルの飛行高度では地球一周にわずか90分。イコール再びデブリの雲に突っ込むまで90分。それまでに地球へ戻る手段を講じなければならない。
通信衛星も破壊されたために地上の指令本部とも連絡がつかず、エクスプローラーの状況すらわからない。
帰還する手段は残されているのか? 酸素はもつのか?
どんな場所よりも過酷な極所で、生き残るための戦いが始まる。

この映画、舞台を宇宙にしていながら決してSFになっていない稀有な作品である。
SFチックなガジェットといえば、起こりうる可能性は示唆されていても(幸運なことに)現実に起こっていないデブリによる爆発的なデブリ増加現象『ケスラー・シンドローム』くらいのものである。
架空のシャトル・架空のミッション・いまだ現実化していないケスラー・シンドロームといくらでもSFにもっていけそうな題材を扱いつつも壮大なホラを吹いていない。
宇宙で現実に起こりうる事故を題材にした――それだけに怖さは相当なものだ。

海だと「板子一枚下は地獄」と表現されるが、宇宙ではさらに恐怖が募る。
酸素が切れたらアウト。機動ユニットの燃料が切れたらアウト。バッテリーが切れたらアウト。母船がやられてもアウト。宇宙服がなければ船外作業が出来ないくせに宇宙服を着ての作業は物をつかむことすら困難で、そのくせ問題は常に倍掛けで増加していく。
そんな現実が宇宙服の向こうに存在する。実に怖い。

その恐怖を募らせるのが、極端に絞った出演者だろう。
基本的な登場人物はサンドラ・ブロック演じるライアン・ストーンとジョージ・クルーニー演じるマット・コワルスキーのみ。
後はサウンドオンリーか死体だけ。その声だって通信衛星が破壊されたことで無線が使えず、デブリ遭遇以降は二人の声だけになる。

この声や音の使い方がうまいのだ。
映画冒頭で流れるのはシャトルや地上管制との無線でのやり取り。そのうちに流れてくる音楽は映画のBGM――ではなく、船外活動中のクルーが勝手にかけたものが無線に乗ってるだけというこだわりっぷり。
音楽を流していたマットに「うるさいから止めて」とリクエストもした。代償としておしゃべりなマットのトークを聞かされる羽目に陥るのだが(笑)
主人公ライアンの耳に聞こえる音は聞こえるが、そうでない音は聞こえないという姿勢は全編に渡って貫かれている。警告音もライアンの宇宙服のもののみ、荒い呼吸もライアンの、といった具合。
外部からの情報も入らないから、無線で聞こえるのはマットとライアンの会話のみ。そこにかぶさる警告音と、どこまでも落ち着いたマットの声がいい対比を見せる。

その後ろに広がる宇宙の様子がまた恐ろしく綺麗なのだ。
板子一枚下は地獄であるはずなのに、地球は上で広がるデブリの雲に気付かない風体でそこに存在し、太陽は美しく上がり、星は儚げに瞬く。
風景はマットとライアンのことなど他人事のように、ただどこまでも綺麗だ。


わずかなことで起こる宇宙の事故が、遠い世界の出来事でなく本当に身近に感じられるこの作品。
恐怖ものとかパニックものとか、ましてやSFものとか区切らないで見てほしいと思う。

間もなく上映終わるかもしれないけど(笑)


そして幕間挟んでネタバレの感想をちょろっと。もちろんWikipediaほどじゃないけど。





…… 原題は『Gravity(訳:重力)』なんだけど 、これ、邦題考えたの誰?
最後に地上に戻ってきて、重力に抗うように立つシーンまで含めた題名なんだから、ことさらに無重力だけを強調するのはどうもなーと。
原題そのままのほうがよかったと思うのだが。
それとも序盤だけ見て題名決めたとか? ありえないわー。

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