1989年、ロンドン。
MI6局員ローレン・ブロートンは戦傷の残した顔のまま、任務の報告のため呼び出される。
ベルリンの壁が壊れた日。彼女はそこにいた。
東ドイツの秘密警察から流出した西側のスパイリストがソ連に渡る前に回収するために。
リストまででなくとも情報は漏洩しており、ローレンは西ベルリン到着時からソ連諜報部に拉致されかける。合流したMI6の腕利き諜報員パーシヴァルは虚実ないまぜの話でローレンを煙に巻き信用がおけない。
情報が錯綜する壁崩壊前夜の混乱の中明らかになる二重スパイ『サッチェル』の存在。
サッチェルとは誰か。リストの存在と行方は。
東西スパイと個人の思惑が入り混じるスパイの最前線、誰もすべての真実を語らぬ街ベルリンでローレンは一人戦い続ける。
というわけでスパイ同士が丁々発止でやりあう諜報戦がこちらになります。
長回しのファイトシーン含めたアクションが話題になるこの作品、個人的にはその背後で繰り広げられる騙し騙され陰険漫才のやり取りが秀逸だと思う。
ベルリンの様子はローレンの独白という形で時系列に沿って進められ、聴聞会の形式にのっとって時折挟まれる『今』の光景はいいアクセントだ。
そのどちらも冬の寒々しさや聴聞会・東ベルリンの無機質感を強めるためキタノブルーを思わせる色彩を抑えた青みの強い映像を多用している。反面クラブやホテルなど多数の人が活気を持って動く場面では色がきつめでメリハリが利いている。なかなかの使い分け。
リストの中身が明らかになるにつれマクガフィンの仮面がはがれていくサッチェルと、その見せ方は秀逸だと思う。
各人の語らぬ真実には、立ち位置や背景もさることながら、行動指針も含まれる。
なのでかの人物だけが『なぜ』『ああ動いたのか』叫ぶのが深く感じられるのだ。人が望むのは平和ばかりではないということで。
そのときのサッチェルの動きは注目である。
もちろんこの映画もおすすめしたいところだ。とはいえちと人を選ぶような情事もあったりするので満遍なくお勧めとはいかないのが悩み所だが。キングスマンみたいな感じ?
最後に折りたたんでネタバレ、というか何というか。
サッチェルの正体は途中から明かされていくので見ていると納得する。だが一番の驚きはその立ち位置だろう。ああくるとは。
そして冒頭の暴言をしっかり回収したあたりにはもうニヤニヤが止まらない。
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