2017年9月27日水曜日

【映画感想】スパイダーマン・ホームカミング

ニューヨークで繰り広げられたアベンジャーズとチタウリの戦い(無印アベンジャーズ)は街を半壊させる過激なものだった。
生まれた瓦礫は産廃業者のエイドリアンに仕事をもたらすはずだったが、瓦礫に含まれるチタウリの技術を拡散させたくなかったトニー・スタークが政府と合同でがれきの撤去を行う部署を設立、エイドリアンから仕事を奪っていったのだ。
調達した重機と人件費を含む借金だけが手元に残ったエイドリアンは、持ち逃げしたチタウリの残骸から兵器を作って密売しようとした。時には政府の管理するチタウリの残骸を奪ってまで。

ちょっと前までは冴えない勉強好きの高校生だったピーター・パーカーが偶然からスパイダーパワーに目覚め、その高校生らしい正義感が空回りしつつも何とか正義の味方っぽく動いていたころ、偶然にもチタウリ兵器の密売現場に遭遇してしまう。
何とかトニーやハッピー・ホーガンに伝えたくとも、地球規模の危機からピーターを遠ざけたいアベンジャーズ側と意見がすれ違い、ついには独力で解決するしかないと思い詰めてしまう。

そんなゆがみが高校生活にも影響していく。はたしてピーターはエイドリアンを止められるのか。


スパイディが3度目のリブートでスクリーンに返ってきた。しかし、実のところその前がけっこうひどかったもので見に行くのはだいぶ悩んでいた。
ぶっちゃけアメージング系列の「さんざん伏線張り巡らせて引っ張っておいて、解決編だけ打ち切った投げっぱなしスープレックス」が腹に据えかねているだけだ。あのジャベリンスローっぷりを見ればサム・ライミ版の3の取っ散らかりなんか可愛いものだろう。

とはいえこれまでのリブートも1は純粋に楽しかったし、見に行けばやっぱりわくわくするものだ。

これまでのものとの最大の違いは、お決まりのシークェンス2つ――蜘蛛にかまれる場面と、ベンおじさんの下りを過去の話として数分の会話にとどめていることだろう。
時系列で見ればその話はシビルウォーの前に終わっていることだし、何より有名になりすぎた話だから「映画に来るくらい好きならざっくりでも知ってるでしょ?」で済ませられるのも納得できる。その分の尺をヴィラン側やピーターの学校生活の掘り下げに使えたのは大きい。

そしてその学校生活があまずっぺぇ! 私にゃなかったフレーバーだよこんちくしょう!!(笑)

ヒーローとしての能力はすごいが、判断力は高校生。間違えて無罪の人を捕まえたりもするし、解決は意外と行き当たりばったりだし、少年らしく子供扱いに腹を立てたりもする。おっさんとしては共感しやすい。


シナリオにも満足だった。スパイダーパワーに振り回され、そこをガキだと突っ込まれることに反発し、挽回策が空回りした上に信用を失っていく描写は、尺がある分これまでの作品より丁寧だ。

そして意外とパパ的立ち位置がハマるトニー・スタークにちょっと笑う。まあ、メイおばさん役の俳優が彼女らしいとかいう噂もあったりなかったりするのでそこらへんは。

物語中盤で明かされるエイドリアンの立ち位置にも驚かされた。こう来るか! って膝を叩きたくなるような不意打ちだった。エイドリアン役のマイケル・キートンが見せる年上かつくせ者の演技がいくつかの会話でピーターを追い詰めていく様子は、実に見事にこちらの不安をあおってくれる。

だからこそラストの展開はスカッとするのだ。


紹介文を書くのにしばらく詰まりながらだったのでずいぶんと公開から間が開いたが、間に合うなら見ておいて後悔はない作品だと思う。ある人物にも一つケリがつくし。

そして最後にネタバレ。もちろんスタン・リーは出るよ!(笑)